会社を辞める際に自己都合で辞めるのと、会社都合で辞めるのとでは大きな違いがあります。

一般的によく知られているのが、失業保険(失業給付金)のもらえる金額の違いと、給付の開始時期の違いです。しかし、実際にはこの他にもたくさん違いがあります。

自己都合で会社を辞めようとしているのに、嘘をついて会社都合にすると後々問題になる可能性がありますが、本来、会社都合になるものを知らないがために自己都合にしてしまっている人も多くいます。

どういったケースが自己都合で、どういったケースが会社都合になるかしっかり理解しておきましょう。これらのケースを『会社都合で会社を辞める退職理由まとめ』のページに記載しているので参考にしてください。

本ページでは、自己都合と会社都合で会社を辞めた場合、どういった違いがあるかをまとめています。

自己都合と会社都合で会社を辞めた場合の違い一覧

自己都合で会社を辞めた場合と、会社都合で会社を辞めた場合では次のような違いがあります。

それでは、順番にもう少し具体艇的に説明していきます。

失業保険の給付額と給付期間

失業保険が貰える期間は、雇用保険の被保険者だった期間(働いていた期間)によって、異なります。また、会社都合の場合は、離職した時の満年齢によっても給付期間が細かく細分化されています。

◎自己都合と会社都合による給付期間の違い
下表を見て分かる通り、自己都合と会社都合では給付期間に大きな違いがあります。年齢や働いていた期間によっては給付期間が倍以上変わってきます。期間が倍変わるということはもらえる総額も倍以上変わるということです。

自己都合による離職者
離職時の満年齢 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
65歳未満 90日 90日 120日 150日
会社都合による離職者
離職時の満年齢 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 90日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 90日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

◎自己都合と会社都合による給付開始時期の違い
失業保険の給付が始まるのも下表の通り、会社都合の場合は失業の申請をしてから7日後には給付が始まります。それに対し、自己都合の場合は更に3ヶ月間先の3ヶ月と7日後からの給付になります。

これは、給付目的で会社を直ぐに退職してしまう人がでないようにするためでもあるのですが、新たな仕事が見つからなければその3ヶ月間は無収入となってしまいます。

給付開始時期
自己都合、懲戒解雇で離職 会社都合、定年で離職
離職票を提出し、求職申し込みをしてから7日後から給付 離職票を提出し、求職申し込みをしてから3ヶ月と7日後から給付

◎自己都合と会社都合による給付額の違い
給付額は日額計算され、日額計算されて出てきた1日分の給付額が給付期間中もらい続けることができます。この1日分の給付額は、離職前の給料や年齢、勤続年数によって変わってきます。自己都合や会社都合によって変わることはありません。

しかし、1日分の給付額をもらい続けられる期間が異なるのでもらえる総額は変わってきます。

市民税(住民税)の免除

市民税の免除はないのですが、減免できる可能性があります。これは、市役所で減免申請を提出する必要があり、申請しなければ一切戻ってきません。市役所側から言ってきてくれることもないので、まずは、市役所に相談しに行くことをお勧めします。

減免申請をし、申請が通るかどうかは様々な条件があるのですが、自己都合、会社都合といった離職理由によって判断されることはありません。

では、自己都合と会社都合によって何が変わってくるのか?

これは、減免申請が通った場合になるのですが、市民税が減免される期間が失業保険の給付期間中となります。よって、会社都合で離職する場合の方が失業保険の給付期間が長いので、市民税の減免期間も長くなるのです。

減免額は、審査によって変わってきます。

国民健康保険の減額

会社都合で離職した場合は、国民健康保険の減額を受けることができます。

国民健康保険は、前年の給与所得から算出し決定されるのですが、会社都合で離職した人は前年の給与所得を100分の30として計算されます。給与所得が多い人ほど国民健康保険料は多くなるので、前年の給与所得が100分の30として計算んされるのは大きいですね。

しかし、これも自分から市役所に申請に行かなければ、市役所側から言ってきてくれることはありません。

また、自己都合で離職した人にも減免制度は別途あります。会社都合の方とは違い、国民健康保険の支払いが困難な状況にあることが立証できなければならないので、申請が通る可能性は低いですが、あきらめずにまずは市役所へ相談に必ず行ってみて下さい。

国民年金の減額・免除

国民年金に関しても保険料を納めることが経済的に困難な場合は、減額や免除を受けることができます。

これも国民健康保険などと同じように自分から市役所へ申請に行かないと、市役所側から言ってきてくれることはありません。自己都合や会社都合などの離職理由によって減額される額が変わったりすることはありませんが、会社都合で離職した場合は減額・免除申請の審査が通りやすいと言われています。

自己都合であってもまずは、市役所へ必ず申請にいくようにしましょう。