職業訓練には大きく分けて『公共職業訓練』と『求職者支援訓練』に分かれます。『求職者支援訓練』は、一昔前までは『基金訓練』と呼ばれていたものですが、平成23年10月から名称が変わっています。

最も大きな違いは、

『公共職業訓練』は雇用保険を受給している方が対象で、国から受講手当や交通費が支給され、かつ雇用保険の受給期間が訓練終了時まで延長される

のに対して、

『求職者支援訓練』は雇用保険を受給できない方が対象となっており、受講手当や交通費の支給はありません。

雇用保険を受給できない方が『公共職業訓練』を受講することは可能なのですが、その場合は受講手当や交通費は支給されません。逆に雇用保険を受給している方が『求職者支援訓練』の方を受講することもできるのですが、その場合も受講手当や交通費は支給されず、更に雇用保険の延長もできないので、注意が必要です。

公共職業訓練と求職者支援訓練どちらを受講したら良いか?

いきなり結論ですが、

雇用保険を受給している人は、
『公共職業訓練』と『求職者支援訓練』どちらでも申し込むことはできますが、国から受講手当、交通費が支給される『公共職業訓練』を受講した方が良い。受講手当は、500円/日ですがお昼ごはん代にもなるためあるに越したことはありません。また、交通費も高いですしね。

雇用保険を受給できない人は、
『公共職業訓練』と『求職者支援訓練』どちらでも申し込むことはできますが、どちらを受けても国から受講手当、交通費が支給されないので『求職者支援訓練』を受講した方が良い。

ここで、雇用保険を受給している人は受講手当や交通費が出る『公共職業訓練』を受講した方がいいというのは理解できますが、雇用保険を受給できない方は何故、『求職者支援訓練』の方が良いのか? と思った人もいるかもしれません。

実は、『公共職業訓練』と『求職者支援訓練』は国から受講手当、交通費が出る出ないの差だけではなく他にも様々な違いがあります。その違いを下記に記載していきます。

公共職業訓練と求職者支援訓練の違いを比較

公共職業訓練 求職者支援訓練
訓練校の実施主体 国や自治体 NPO法人や各専門学校など
訓練の種類 基礎的なコースが多い。 基礎的なコースに加え、より踏み込んだ実践コースもある。
訓練内容 事務、経理、機械加工、自動車整備、医療事務、電気電子、情報技術、デザインなど 事務、経理、介護、医療事務、Web系など
訓練機関 3ヶ月程度のものが大半。製造関係は、6ヶ月~1年、介護・保育士などで2年コースなどもある。 3ヶ月~6ヶ月のものが大半。実践的な講義内容を取り入れているところが多く、公共職業訓練よりも平均して期間が長い。
選考方法 面接、筆記試験 面接、筆記試験(但し、訓練校によってことなります)
対象者 原則として、雇用保険受給者の方。ただし、受給者でなくても応募は可能。 原則として、雇用保険を受給できない方。ただし、受給者でも応募は可能。
受講手当・交通費 <<雇用保険受給者>>
受講手当、交通費が支給
<<雇用保険非受給者>>
受講手当、交通費は支給されない
<<雇用保険受給者>>
受講手当、交通費は支給されない
<<雇用保険非受給者>>
受講手当、交通費は支給されない
ハローワークの来所 <<雇用保険受給者>>
各都道府県によって異なる。兵庫は認定日の来所の必要なし、大阪は訓練校が指定した認定日に来所の必要がありなど
指定日に来所する必要がある。
雇用保険の延長 条件により訓練終了まで日数を延長して受給することができます。 雇用保険の受給延長はできません。
職業訓練受講給付金の申請※1 <<雇用保険受給者>>
雇用保険を受給している人は申請不可
<<雇用保険非受給者>>
一定条件により給付申請できます。
<<雇用保険受給者>>
雇用保険を受給している人は申請不可
<<雇用保険非受給者>>
一定条件により給付申請できます。

職業訓練受講給付金とは? ※1

職業訓練受講給付金は、職業訓練の受講料と勘違いされている方が多いですが、受講料とは異なります。職業訓練の受講料は、基本的には国が支給してくれるため無料です。(一部の特殊な訓練は有料のものもあります)

では、職業訓練受講給付金とは何か?

雇用保険を受給している方は、毎月雇用保険を受給でき訓練期間中も延長してもらうことができるため、仕事に就いていなくても生活をしていくことができます。しかし、雇用保険を受給できない方は訓練期間中収入がないため生活に困ります。

そういった方のために一定条件を満たしている雇用保険を受給できない方を対象に『職業訓練受講給付金』というものが毎月支給されます。支給額は、月額最大10万円。

雇用保険受給者は、雇用保険と受講給付金の二重取りになってしまうため受講給付金の申請はできません。