会社都合で会社を辞めた場合と、自己都合で辞めた場合には『自己都合と会社都合で会社を辞めるのでは大きな違い!その違いとは?』のページでも記載していますが、大きな差があります。

では、どういった退職理由が会社都合になるのか? 本ページでは、会社都合で辞めることができる退職理由をまとめています。また、自己都合なのですが会社都合相当の恩恵を受けることができる理由もあるので、自分の退職理由が該当しないか必ず確認しましょう。

会社都合と会社都合相当の恩恵が受けられる自己都合

『特定受給資格者』及び『特定理由離職者』という用語が厚生労働省のページで定義されています。定義内容は次の通り。

※特定受給資格者及び特定理由離職者とは
特定受給資格者とは、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者(具体的には以下の「特定受給資格者の範囲」に該当する方)であり、一方、特定理由離職者とは、特定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した者

簡単に言うと

 『特定受給資格者』=『会社都合』
 『特定理由離職者』=『会社都合相当の恩恵が受けられる自己都合』

ということです。
では、会社都合である『特定受給資格者』と、会社都合相当の恩恵が受けられる自己都合の『特定理由離職者』とはどういったものなのか?を詳しく見ていきます。

会社都合(特定受給資格者)

「倒産」等により離職した者
① 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
② 従事している会社で1ヶ月に30人以上の離職を予定の届け出がされたため離職した者。または、雇用される社員の3分1を超える者が離職したため離職した者。
③ 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者。
④ 事業所の廃止(廃止ではなく一時的な活動停止だが再開の見込みのない場合も含みます)に伴い離職した者。会社自体が廃止ではなく、各支店の閉鎖などが該当します。

「解雇」等により離職した者
① 解雇(懲戒解雇など自己の責任による解雇など重大な理由による解雇は除きます)により離職した者
② 労働契約や労働条件が提示されていたものと著しく異なるため離職した者
③ 賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上発生した場合、又は離職の直前6ヶ月の間の内3ヶ月間あったこと等により離職した者
④ 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて 85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限ります)
⑤ 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇もしくは嫌がらせを受けたことによって離職した者
⑥ 離職の直前6ヶ月間のうちに3ヶ月連続して45時間、1月で100時間又は2~6月平均で月80時間を超える時間外労働(残業)が行われたため、又は会社がが危険もしくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、当該危険もしくは健康障害を防止するための必要な措置を取らなかったために離職した者
⑦ 会社が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
⑧ 事業所の業務が法令に違反したため離職した者
⑨ 期間の定めのある労働契約の更新によリ3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
⑩ 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記⑦に該当する者を除く。)
⑪ 事業主から直接もしくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しません)
⑫ 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者

⑥の残業時間過多、⑤の上司、同僚からの嫌がらせやパワハラはよくあるのでは?

特に⑤の上司、同僚からの嫌がらせやパワハラで退職される方の多くは、会社を辞める際の退職理由を別の理由に置き換えてしまいます。やはり、『上司に~といった嫌がらせにあっているので』とは言い難いためなのですが、会社側の問題で会社都合として退職できるものが、理由を置き換えて自己都合になってしまっては、踏んだり蹴ったりです。

そこは勇気を出して言えるようにしましょう。

とはいっても、言えない場合はあります。そういった場合は、退職後、職安(ハローワーク)で会社都合に変更してくれる場合があります。しかし、その場合はそういった実態があったことを証明できるものを求められるので、退職前に証明できるものを集めておくようにしましょう。

会社都合相当の恩恵が受けられる自己都合(特定理由離職者)

① 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
② 負傷、体力の不足、心身の障害、視力の低下、聴力の定価、疾病、触覚の減退等により離職した者
③ 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
④ 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合。又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
⑤ 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
 ⅰ) 結婚に伴う住所の変更
 ⅱ) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
 ⅲ) 事業所の通勤困難な地への移転
 ⅳ) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
 ⅴ) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
 ⅵ) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
 ⅶ) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
⑥企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
⑦期間の定めのある労働契約で期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限ります。また、労働契約において、契約更新条項が「契約を更新する場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではない場合がこの基準に該当します)